小倉さんは考えた

やわらかければうまい。そう習ったよ。

「VR+物理」は高度な夢なんじゃないかって話

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アレは高度な夢だったんじゃないだろうか。

先日オープンした「VR ZONE」という新宿のトーホーシネマズの隣にできたVR専門の施設の話だ。

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プレイヤーが子供みたいにはしゃいでいるのが分かるだろう。

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ノリの良いプレイヤーだからこうなってる訳ではない。あなたもこうなる。

「VR ZONE」で経験したあの体験は”夢”と極めて近いものだったと感じている。

いきなり何言ってんの?お前。と思われるかもしれないが、説明を続けよう。

僕は下記の図のような

・高層ビルから突き出た「板」の端にいる猫を救いに行く

というVRを体験した。スリル系のVRだ。

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素晴らしいコンテンツだが、現実の現場にあるのは「VRゴーグル」と簡素な「板」だけだ。床に置いてあるその板に乗る。たったそれだけのことだ。

だが、VRゴーグルを装着してその板の上に乗るとその物理的な「板」が恐ろしく良い味を出す。

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VR上の僕は視覚的にはビルの端に立っている。目の前に広がるのは「広大な空」と眼下遙か下にある「地上」そしてビルから突き出た1枚の「板」だ。ヘッドフォンを通して聞こえるのは強い風の音。

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ここまでは予想通りだ。今までのVRと変わらない。

違うのは自分が物理的な「板」の上に立ってるという”事実”だ。この板は確かに存在している。だから触感に矛盾がない。足の指が板の”横端”を認識している。現実には厚さ2センチの板だ。板から外れたらわずか2センチ下の床に”落ちる”だけのことだ。

しかし視覚的には自分はビルの高さにある1枚の板の上にいる。鼓膜が強い風を認識してる。そして足の裏が感じる物理的に存在する板。

この時僕の脳は確かに「ビルから突き出た板の上にいる」と認識していた。だからビルから落ちて死ぬ「可能性」を感じていた。床に置いてある板の厚さ、わずか”2センチの落下”に、だ。

もちろん理性は「これはVRだ」と理解している。だが本能は死を恐れ、落下を強く拒絶していた。端から見れば滑稽だろう。

PS VRやOculus RiftのようにVR単体でここまで没頭(錯覚)するのは難しいだろう。なぜなら現実の「自分の状態」と「映像」の間に矛盾が多いからだ。

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例えば、ガンアクションのVRをプレイする現実の自分は椅子に「座って」「コントローラー」を握っている。一方、それをプレイする映像の中の自分は「立って」「銃」を握ってる。現実と映像内の「姿勢」と「触覚」がまるで違う。この矛盾によって”入りきる”ことが難しくなる。

だがVR専門の施設なら物理的にその矛盾を解消することが可能だ。例えばVR ZONEでプレイできる「マリオカートVR」なら

専用のハンドル、スピードに合わせて風が吹く、シートの角度が映像に合わせて変わる、シートにエンジンの振動が伝わる

という形でVRによる映像”以外”の「触覚」をとことん物理的に再現することを試みている。現実と映像内の矛盾を削っているのだ。

VR単体では表現できない物理的な矛盾を一つずつ解消していくと、脳はそのVRの世界を本気で信じてしまう。

この「VR+物理」によって生じる高度な錯覚はVR専用の施設VR ZONEにあるほとんど全てのVRで感じることができる。つまり再現性があるのだ。だから館内は異様な光景に包まれていた。プレイヤーがみんな”本気”になっているのだ。

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この男性(知人)はヘラヘラ笑いながら「かめはめ波」を放ってる訳ではない。ガチである。

あなたはイマイチ理解できてないだろう。「何でそこまで本気で楽しめるの?」と。

プレイヤーは本気になりたくて本気になっている訳ではない。つまり能動的な集中力によって生じる没入感ではないのだ。”生存本能”がそうさせるのだ。視覚と聴覚、触覚が”切り替わる”と脳は自然とそれに「適応」しようとする。その結果、本気にならざるを得ないのだ。なぜなら自然界では目と耳と触覚に従わなければ死ぬからである。

これは夢と同じだ。例え夢だと認識していても「夢の中のあなた」は本気で夢の中のあなたの「役割」を全うするだろう。分かっていても本気になってしまう…。つまり「VR+物理」は強制的に白昼夢を発生させるマシーンなのである。

(どうでもいい話だが)現実世界の僕は結構カタブツだ。だからイメクラでは役割に没頭できそうにない。ゆえに行ったことがない。

だが「VR+物理」の前の僕はカタブツではいられなかった。30代のおっさんなのにエヴァVRにおける僕の意識は惣流・アスカ・ラングレー そのものだった。感覚的にはシンクロ率100%越え。LCLに満たされるコックピットの中でノリッノリ。使徒に向かって「オリャー」と突っ込んであっさり死亡する始末。

これだけ何かの役割に没頭するのは初めてのことかもしれない。演じることの気持ちよさを知ってしまった。

是非この強制的な白昼夢をあなたにも経験してもらいたい。

気付いたことが1つある。VR専門施設のVRは恋に効く、という点だ。VRは体験した人にしかその良さが分からない。マリオカートVRの爽快感、ホラーVRの恐ろしさは口頭や記事、YouTubeの映像ではぜっっっっったいに伝えられない。

この伝えられない「もどかしさ」が恋愛テクニックでよく聞く「二人の秘密」のような効果を生み出すのだ。さらにVRが生み出すドキドキ感が「吊り橋効果」のような作用を生む。今回はおっさん同士で行ったのでかろうじて何もなかったが、女性と行ったらきっと恋に落ちていただろう。

ちなみにVR専門施設VR ZONEを終えた後の帰り道、体感は富士急ハイランドの帰りに似ていた。絶叫による心地よい疲れと醒め遣らぬ興奮。これが新宿に出来たってのは朗報だなぁと心から思う。

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