「送料自由」は天才的な一手だ。
これ以上、最高の奇策は絶対に無いと言い切れる。
説明しよう。
送料自由の背景はヤマトの値上げ
そもそも送料を自由化しなければいけなかった理由は何か?
それはヤマトを含む運送業、大手各社の送料が値上がりしたことにある。
王者アマゾンでさえも負担する送料が4割程度増えるそうだ。もちろん表向きの送料は「無料」なので値上がり分はそのままアマゾンの負担になる。
では、この値上がり分に対してアマゾンが打てる手は何か?
シンプルに考えると
・アマゾンが値上がり分を負担する。
・送料無料をやめ、値上がり分をユーザーに負ってもらう。
この2択だ。
しかしながらこの2択はどちらを選んでもマイナスの結果しか生まない。
アマゾンが値上がり分を負担すれば、営業利益を減らしてしまう。
一方、ユーザーに送料を負担してもらうとユーザーからの反発を受け、売り上げが減ってしまう。どちらを選択しようと絶対に業績は落ちてしまうのである。
もちろん値上がりの余波はZOZOタウンにも来ている。だが、彼らはその当然とも言える2択を選ばなかった。
ZOZOが独自に生み出した3択目の奇策は自分で送料を決める「送料の自由化」だ。この施策であればユーザーはZOZOへの信頼感を増やすことはあれど、落胆することはないだろう。それでいて、ユーザーには一定の送料を負担してもらうことができる。一切売り上げを減らさずに、だ。
天才かよ…。
大事なのは送料の期待値
だけど「0円を選ぶユーザーがほとんどなのでは?」と考える人もいるだろう。だがそれは解にはなり得ない。個別に見ると確かに0円を選択するユーザーは多いだろう。だが本質は「平均でいくら送料を負担してもらえるか」である。
0円の人もいれば、100円の人もいる。800円、1000円の人もいるだろう。万単位のユーザーが送料を自分で選ぶのある。これらを平均した数字は0円とは考えにくい。結果として、平均100円を超えればスタートトゥデイからすると笑いが止まらないだろう。
そもそもZOZOタウンの送料は無料だったのである。それが自由化されたところで平均がいくらであろうと失敗はないのだ。いくらであろうと送料が入る以上、プラスしかないからだ。
個人的な予想だが、スタートトゥデイが想定する性善説を前提とした平均送料は120円前後だろう。
驚くべきはスタートトゥデイの社内の空気
僕が何より感動したのが、こんな奇策が通る社内の空気である。一見メチャクチャな案である。普通の会社なら確実に課長、部長あたりが「バカか、お前は」と握りつぶすようなアイデアだ。それが通ると言うことは社内の風通しがスーパーウルトラ良いとしか考えられない。きっと良い会社なんだろう。うらやま。
流石にこのZOZO色の強い「送料自由化」をアマゾンやヤフーショッピングが真似するにはプライドが邪魔するだろう。だからEC・通販各社が運送大手各社の値上げに苦しむ中、ZOZOタウンだけが奇策を用いて被害を免れることができるのである。
日本発のサービスがここまで振り切った策を用いることに、いくらか興奮している。スタートトゥデイの未来が楽しみd(って書いてたら、今日のスタートトゥデイの株価落ちてるわ。なんでー!)
追記2017/10/03
以前は一定額以上じゃないと送料無料にならなかったが、それは送料無料を謳うAmazonも同じだ。
仮にZOZOの送料自由化で平均購買額6500円からいくらか下がったとしても結局送料を支払う層が増えるので結論は同じ。大事なのは自由化による平均送料である。
購買額が下がった結果、購買回数が増える。その結果、喜ぶのは…もちろんZOZOタウンだ。泣くのはライバルECである。
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