ふくゆきさんが書いた「iPhone7の特別仕様」に関する解説記事に少し追記してみます。
彼の記事を要約(抜粋)すると、
- 日本人が世界最強のiOS課金厨であり30%はAppleに入ってくるから。
- 10万円近いiPhoneを買うのは日本と米国が多い
- 中国政府とAppleが関係が悪くなった。
とのこと。つまり日本市場が有望だからFelicaが採用されたそうです。
でも本当にそうでしょうか?
世界最強の課金厨を擁する日本市場は2位から3位に下落してますし
※ちなみにApp Storeの売上げはApple全体の売上げの5%程度です。
iPhone大好きな日本ですら、売上げベースでみたらこんなもんですよ。わずか7%。ちっちゃい。ちっちゃい。
参照:アップル売上「70%がiPhone、アプリは5%以下」記憶力が悪い人のためのApple決算まとめ。 | アプリマーケティング研究所
データを元にすると、「日本市場が好調なので特別仕様にした」とするのは不可解です。
ということで、"事実"をもとに考察してみましょう。
日本向け特別仕様iPhoneはApple日本法人が頑張ったから
事実をベースに考えてみます。
「日本向けiPhone7にはFeliCaが搭載されている」 これは事実です。
ではそのFelica採用の提案はどこから来たのでしょうか?
もちろんアメリカ本社からしたら日本の特殊な事情など知り得ませんからFelicaの話は「Apple日本法人から来た」のでしょう。これもまた事実だと言えます。
ここまでが事実です。以下が考察です。
ではなぜその提案が通ったのでしょうか?わずか売上げ比率7%の島国です。特別仕様を採用するには相当な理由が必要でしょう。
※今まで通った特別仕様はカメラのシャッター音のみ。日本市場で販売するためには必須の機能です。
つまり通常の"依頼"ではなく「Apple日本法人が"死ぬほど強く"本社に訴えかけたから」日本向け特別仕様のiPhoneは実現したと考えるのが自然です。
ではなぜ”死ぬほど強く”本社に訴えかける必要あったのでしょうか?
2015年12月Appleは総務省を訪れている
iPhone6sを発売した後、Appleは総務省を訪問しています。
理由は総務省による各キャリアへの「実質0円」廃止によるものです。
そもそもAppleは各キャリアに「iPhoneを売らせてやるから◯◯◯◯万台は確保しろよ」という契約を結んでいます。
その契約があるのでiPhoneは他のスマホよりも"安く"売られているのです。
※上記サイト参照
つまり総務省による「実質0円」廃止は「iPhone殺し」になりえる…とAppleは考えた訳です。もちろん総務省もそう考えているのでAppleの考えは間違っていません。それを裏付けるように総務省(の関係者)は「Apple日本法人のトップが総務省を訪問したこと」をわざわざ産経に"リーク"しています。(明らかにAppleを嫌ってますよね…。)
ちなみに訪問後、Appleは業界各所への根回しを相当やったことから、総務省の回答はかなりネガティブだったことが窺えます。このあたりでAppleは考えたのかも知れません。「流れが変わるかもしれない…」と。
Appleの"危機感"でFeliCaは採用された
総務省の動きから「放っておいてもキャリアがiPhoneを売ってくれる」前提は今後弱まっていきます。日本人の種族的特性として「皆と一緒」圧力があるので、iPhoneのシェアが崩れ始めたらどうなるか予想がつきません。GALAXYやXperiaに一気に傾いていく可能性だってあります。
つまりiPhone7のFeliCa採用には総務省の動きを引き金とした「日本市場に対する危機感」が背景にあったのです。決して市場が有望だからではありません。市場を失う危機感ゆえに、です。それゆえのテコ入れだった…と。
というのがふくゆきさんの記事への追記(というか修正?)になります。
泣けますよね。グッジョブApple日本法人。結果オーライ総務省。